圧倒的な高視聴率!前世代がハマった大ヒットドラマ

「朱蒙」から「太王四神記」「イ・サン」まで、歴史の英雄がスポットを浴びる昨今の韓国時代劇ブームの中、2008年、新たな流れが生まれた。庶民から生まれた庶民のための英雄の登場、である。「快刀ホン・ギルドン」に続き「イルジメ[一枝梅]」という、韓国でよく知られた古典のヒーローを題材にした時代劇がヒット。義賊チームが活躍する韓国版“必殺仕事人”「必殺 最強チル」も話題を呼んだ。特に「イルジメ」は、ソン・イェジン×チ・ジニの「スポットライト」、キム・ジス×ハン・ジェソク「太陽の女」という大物スターのブラウン管復帰作が並ぶ同時間枠において、放送第1話より視聴率第1位を独走。20%を超える平均視聴率を維持し、最終回には最高視聴率31.4%を打ち立て、2008年の大ヒットドラマとなった。 「イルジメ[一枝梅]」のヒットは視聴率だけのものではない。放送開始後は歴史に興味を抱く小中学生が増加。学校では「イルジメ」の舞台となったインジョ(仁祖)王の時代や扱われた両班(ヤンバン=貴族)社会の腐敗について質問する子供達も増えたことから、期末試験で「イルジメ」に関する出題を取り入れた中学高校も報告されたほど。それには、視聴覚的、また物語的にも現代的要素を取り入れたフュージョン時代劇と呼ばれる手法を用いた点も大きい。現代的でスタイリッシュなイルジメ扮装ファッション、華麗なアクションにドラマティックな音楽、そして切ない恋愛ドラマから家族の物語、世の不正を成敗する痛快劇と、笑いと涙、緩急を絶妙なバランスで織り込んだストーリー展開、「王の男」をはじめとした映画やドラマのパロディを盛り込むなどの斬新な内容は、従来の時代劇が持つ重く堅苦しいイメージを払拭、想像力をかき立てるエンターテイメント性の高い作品として、幅広い層の心をとらえたのである。なかでも、当時社会的に関心を集めていた米国牛肉輸入問題を暗に示したエピソードはその痛快さが好評を呼び、長引く不況で厳しい社会情勢にある韓国において、庶民に元気を与える“国民的正義のヒーロー”として高い支持を受けることになった。

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ヒットメーカー集結したハイクオリティドラマ!

「イルジメ[一枝梅]」は「若いスタッフによる新感覚の時代劇を作ってみよう」という動きのもと、SBSが臨んだ挑戦作でもあった。演出家として白羽の矢が立ったのは、前年の大ヒット作「銭の戦争」を共同演出、「新入社員 Super Rookie」などを手掛けてきたイ・ヨンソクPD。自ら企画した「イルジメ」に深い愛情を注いだ彼は、その情熱と独特の感性でドラマチックかつ繊細な映像を作り上げた。 ドキュメンタリー番組の構成作家として活動してきたチェ・ランを脚本に投じたことも冒険だった。ドラマの脚本は初めてでありながら、専門分野で培ってきた知識と構成力を発揮し、現代の若者に通じる生き生きとした主人公ヨン(=イルジメ)を生み出すと同時に、徹底した歴史検証に基づいた時代背景を設定、しっかりした土台の上に骨のある人間ドラマを完成させた。 さらに、「オールイン」「朱蒙」など数々の大作を手掛けてきたチョロクベムメディアが共同制作として加わり、10億ウォン(約1億1400万円)をかけて作られた提川(チェチョン)のオープンセットを初め、美術や衣装、音楽など様々な面で制作をサポートした。特に、音楽では映画「冷静と情熱のあいだ」やドラマ「プライド」などで韓国でもよく知られている作曲家・吉俣良を抜擢し、日韓のコラボレーションが実現。吉俣によるドラマチックなオープニングテーマは映像と完璧な調和を見せ、この曲に合わせて楽曲が作られたというOSTは大ヒットを記録した。なかでも、「ごめん、愛してる」の挿入歌「雪の華」で知られるパク・ヒョシンが歌った主題歌「花信」は放送直後に複数のポータルサイトやサイワールドで検索語1位となったほど。 こうして様々な才能が連鎖反応のように繋がり、周囲の期待をはるかに超えるスケールの大きな作品が誕生した。

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人気・実力No.1俳優、 イ・ジュンギを始めとする実力派俳優たちの共演。

このドラマの最大にして最強の魅力は、脚本家が創造したオリジナリティ溢れるキャラクター像に息を吹き込み、唯一無二の生きた人物を生み出した俳優たちの名演だ。特に、前作「犬とオオカミの時間」で飛躍的な成長を遂げ、今作「イルジメ[一枝梅]」でSBS演技賞「男性最優秀演技賞」を受賞したイ・ジュンギの好演は圧巻。社交的で明るいヨンと孤独な義賊イルジメ、その2つの姿の陰で一人悲しみに堪える本当の自分という3つの表情を見事に演じ分け、視聴者から絶賛された。また、ほとんど代役なしで自らこなしたアクションシーンは美しくかつ迫力に溢れたリアルなものに仕上がり、「イルジメ」の視覚的魅力を増大させている。 そして、イルジメのライバルであり、庶子ゆえに家族に虐げられ心を閉ざして生きるシフには、「完璧な恋人に出会う方法」で主演級に躍進したパク・シフを抜擢。寂しげな眼差しでシフの内面を映し出し、女性たちを魅了した。 対する女性陣も、「春のワルツ」で日本でも知られるハン・ヒョジュが、イルジメが唯一愛し、切ない恋を展開するウンチェに扮し、これまでの明るく活発なイメージを一新。時代劇初挑戦とは思えぬ落ち着きと品のある雰囲気を醸し出している。その一方、ヨンを一途に想う少女ポンスンを演じたイ・ヨンアは、前作「黄金の新婦」に輪をかけた愛らしさで、ヨンに扮したイ・ジュンギと楽しい凸凹コンビを形成。物語に明るい笑いを提供するパートを担った。 この主演4人に負けずとも劣らぬ活躍を見せたのが、脇を固めた実力派俳優たちだ。特に、ヨンの養父セドルに扮したイ・ムンシクはこのドラマの陰の立て役者である。彼は役作りのため自分の前歯を抜くという凄まじい役者魂を見せ、物語の泣かせどころとなる多くの名シーンを生み出した。映画「フライ、ダディ」に続く共演となったイ・ジュンギとも抜群のコンビネーションを見せ、“ベスト父子”として多くの視聴者に愛されることとなった。さらに、愛情表現の不器用なヨンの養母タンを演じたキム・ソンリョン、ポンスンの養父コンガル役のアル・ギルガン、ヨンの仇である謎の黒幕を演じたキム・チャンワン、冷徹な刺客サチョン役のキム・レハ、間の抜けたシフの異母兄シワンを演じた舞台出身俳優キム・ムヨルなど、芸達者な俳優たちが物語に妙味と緊張感を加え、深みのあるドラマに仕上げている。

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ただのヒーロードラマで完結しない、 感動の ヒューマンストーリー。

「イルジメ[一枝梅]」が観る者の心を虜にした理由は、その高い物語性とキャラクターの魅力があげられる。父の暗殺現場を目にした衝撃から記憶喪失となり、別の人間として育てられた少年ヨン。13年の時を経てその悲しき記憶を取り戻した彼が、復讐のため、ただ一人悪に立ち向かっていくスリリングな展開は興奮の連続だ。それだけではない。情けないヨンが猛特訓の末、無敵の怪盗になっていく姿が愛らしくかつ痛快で、「英雄とて1人の人間」と感じさせ、共感を誘う。一方、周囲からイルジメが英雄視されることへの戸惑いや、正体を誰にも明かせずない孤独、それを押し殺して悪に立ち向かう姿が切なく、胸が締め付けられる。情けなさと格好よさ、明と暗という二面を併せ持ったヨンという青年に、知らぬ間に釘付けにされてしまうのだ。 さらに、そんなヨン=イルジメを見つめる2人の女性ウンチェとポンスン、彼を追う羅将シフが繰り広げる切ない恋物語からも目が離せない。正体も知らぬイルジメを想い、同一人物のヨンは煙たがるウンチェの皮肉な愛、ヨンを支えようとするポンスンの一途な愛、「異母兄妹」という世間の目から、ウンチェに対するシフの密かに見守る愛、そしてイルジメであるがゆえに愛する人を傷つけることを怖れ、想いをひた隠すヨンのストイックな愛と、交錯する様々な想いの行方は、韓国でヨンと結ばれるのはウンチェかポンスンかで論争を巻き起こしたほどである。 また、何より秀逸なのは、ヨンを取り巻く人々の絆、情愛の物語である。特に、物語を根底で支える家族の情愛は心を深く打ち、今作を単なるヒーロー物語以上のものにしている。ヨンの養父セドルが、血の繋がらない息子ヨンに無償の愛を注ぐ姿は心温まり、また涙なくして見られない。これに加え、ポンスンの家族を殺した一味でありながら彼女を育てることになった元刺客のコンガルと、コンガルを実の父親のように慕うポンスンの絆、長年連れ添いつつ上手く思いが伝えられないセドルとタン夫婦の不器用な愛など、様々なドラマを持つ親子・家族の関係とその間に流れる幾多の感情、情愛の物語に、ただただ涙するばかりだ。 正義とは何か? 家族とは何か? そして、愛とは何か? 「イルジメ[一枝梅]」は多くのことを問いかけるドラマである。

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二面の顔を持つ孤独な英雄 唯一無二のキャラクター、『イルジメ』の誕生!

イルジメとは中国から朝鮮半島に伝わり語り継がれた古典の義侠的盗賊=義賊で、日本で言えば鼠小僧、海外ではルパンやゾロといった怪盗のイメージだ。過去にはチャン・ドンゴン主演によるドラマをはじめ、アニメや映画化もされ、韓国人にとっては馴染み深い存在。“盗んだあとに梅の花、一枝を残す”ということ粋なやり方で知られ、特に70年代に新聞で連載されたコ・ウヨンによる漫画は大ヒット、一般的なイルジメのイメージを作り上げることとなった。 しかし、今回SBSのドラマ制作チームは完全オリジナルの「イルジメ」を創作することに成功した。「昼は市井に暮らす陽気な青年ヨン、夜は父親の仇を探すべく貴族の家に忍び込む義賊イルジメに変身」という≪二面の顔を持つ独創性に富んだキャラクター≫を誕生させたのである。イ・ジュンギ自身もインタビューで「白紙のものに自分なりの様々な色をつけていくことができる。固定のものに縛られず、新しい英雄像を創造できる魅力があった」と出演を決めた理由を語っている。今作のイルジメは唯一無二であり、彼だからこそのキャラクターになっているのである。

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